醜形恐怖を克服するシンプルな方法【まとめ】

(最終更新日:2020/07/03)

 醜形恐怖症とは、自分の顔が醜くないのにも関わらず醜いと思いこんでしまう特徴を持つ心のトラブルの一種です。(身体醜形障害と呼ばれることもあります)
しかし、これは脳の機能によって生み出される異常現象で、根本原因は脳にあります。
つまり、醜形恐怖症とは脳の機能障害です。

今回は醜形恐怖症の克服法について詳しく書いていきます。

Contents

醜形恐怖症の原因

醜形恐怖症は強迫性障害の一種とみなされることがあり、それくらい両者は親戚のような関係にある脳機能の異常です。

強迫性障害の人ではリラックスに必要なGABA(γアミノ酪酸)という脳内の神経伝達物質の量が低下しており、このタイプの人にGABAを増やす抗不安効果のあるクスリが処方される理由はここになります。

GABAの主な作用


〇GABAが増えると自分の顔を美しく感じます
〇GABAが減ると自分の顔を醜く感じます

これはお酒を飲むと異性の顔または自分の顔が余計に美しく見えたりするのと同じ話です。もちろん、GABAだけではなくオキシトシンという愛着信頼関係に関わる脳内ホルモンがアルコールによって増えることも関わりますが、一般に精神状態が非常にこうリラックスしている時に鏡に映る自分の顔は美しく見えるのです。


↑醜形恐怖症の自分で出来る克服方法(私による解説)

醜形恐怖症の人ではGABAが足りない。だからGABAを増やす対策をすることがその克服につながる
以下、動画の内容を説明していきます。

醜形恐怖症のシンプルな克服法

ビタミンB6と亜鉛のサプリメントの摂取

ビタミンB6

GABAが生成されるまでに様々な体内の酵素等の補因子が関わるのですが、その中でGABAの生成に必要不可欠なGAD酵素を活性化するのにビタミンB6が非常に重要です。

ビタミンB6は精神に多大な影響を及ぼすビタミンの一種でピリドキシンと呼ばれることもありますが、脳内のB6レベルは血中のB6レベルの4倍です。いかに精神に多大な影響を及ぼすビタミンであるかこのことからもよくわかります。

GABAは十分なビタミンB6レベルに達しない限り盛んに生成されることはありません。

亜鉛

また、亜鉛は全身の数百種類上の酵素の活性に関わる極めて重要なミネラルの一種ですが、GABA(ギャバ)の合成にも必要不可欠です。

亜鉛が低下するとGABAも低下することは科学的に証明されている事実で、実際に、GABAが低下していることが指摘されている強迫性障害の人では、血中のGABA濃度もしくはGABA代謝物の割合が優位に低いことがわかっています。

強迫性障害と醜形恐怖症は親戚関係にありますから、醜形恐怖症の人では亜鉛レベルが低下している可能性が高いことは容易に推測できます。(十分な傍証)

ビタミンB6と亜鉛のサプリメントを摂取することでGABAは優位に増加するので、次第に自分の顔形、ルックスに対するこだわりも長期間継続するほどに、どうでもいいものと自然と燃えるようになっていくはずです。
それは血中のGABA濃度がこの2つのサプリメントによって上昇するためです。

GABAとは脳内の神経伝達物質のひとつで強力な精神鎮静作用、リラックス作用を持ちます。デパスやソラナックスなどのベンゾジアゼピン系抗不安薬は主に、このGABAを増やす作用機序を有しています。

醜形恐怖症の克服には”運動の習慣をつけること”が大切

運動にもGABAを増やす作用があります。例えば、ヨガのセッションを1時間やった被験者の血中のGABAレベルを測定したところ、ヨガをやる前のそれと比較すると、130%に上昇していたという論文があります。 [1]

この例からもわかるように、運動には天然の抗不安効果、抗うつ効果があります。

ですから、醜形恐怖症の人は、運動の習慣を今すぐつけられた方が良く、必ずメンタルヘルスの向上に役立ちます。実際に運動を長く継続する人ではGABAの生成に関わる遺伝子の発現が促進されることが報告されています。[2]
たかが運動されど運動。それくらい重要なモノになるのですが、悲しいかな、多くの人はこうした身近なモノを過度に軽視している嫌いがあるので、灯台下暗しのような状態になっているのです。

醜形恐怖症を克服したい場合は運動の習慣も必ずつけた方が確実に良いです。

マインドフルネス瞑想の習慣をつける

瞑想というと難しいイメージがあります。しかしながら、私が教える瞑想は簡単です。

20分間タイマーをセットし、背筋を伸ばした状態で、結跏趺坐または半跏趺坐 、あぐらの状態で、体の動きを極限的に止めてください。

あたかも自分が石や岩のような無生物になったかのように、息をひそめ、自分の存在そのものが周囲と一体化してしまっていると言えるような感じで、いわゆるインテリアのような置物になり切ります。

これを20分であれば20分、40分であれば40分継続します。マインドフルネス瞑想には先に説明したGABAを増やす作用があることまた、オキシトシンを増やす作用があることが科学的に判明しています。[3]
やってみればわかるかと思いますが、実際に大変に精神が安定し、充実感を覚えることにあなたは気づくはずです。

コラム:醜形恐怖症を克服するのに”禁止”は厳禁

醜形恐怖の症状は自分の中に湧き上がってきた自然な感情です。感情とは生理現象なので暑くなったら汗をかくのと同様に、一旦生じた感情を抑制しよう、気にしないようにしようとしも無理ですし、そうすると余計に感情は強まる性質を持っています。醜形恐怖症で自分の顔を鏡で確認したい人は、私が上で掲示した克服法を実践しながら、いくらでも確認されてください。

このように克服のためには、”禁止”は厳禁です。
巷の心理カウンセラーが言うような指導方法は完全に間違っているわけです。

脳が産みだした生理現象を抑制するのは無理であり不自然ですから、そんなことは好きにでも捉われ、その代わり、上で紹介した克服法を真摯に実践されていかれてください。徐々に徐々に気にならなくなっていくはずで、最終的には自分の顔へのこだわり”醜形恐怖症”自体もあなたの中から一掃されているはずです。「こんな方法で?」と多くの方は考えると思いますが、シンプルな方法ほど得てして効果が高いというのが事実なわけです。

まとめ

このような方法を用いていけば醜形恐怖は克服することができます。

主なキーポイントはGABAレベルの上昇です。
GABAが増えれば自分の顔は美しく感じられるようになるのです。
このことはアルコールを飲んだり、ベンゾジアゼピン系抗不安薬を飲むと
全てのモノ、人がより美しく感じられるようになることからよくわかる話です。
それくらい人が見ている視覚情報というのは不正確なモノなのです。

我々が認識している視覚世界というのは、すべて脳というフィルターを通してみた色眼鏡的な世界だということです。

上の対策を講じていけば、醜形恐怖症は改善していき最終的には克服することが可能になるはずです。

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(参考文献:)
[1]:https://www.sciencedaily.com/releases/2007/05/070521145516.htm
[2]:https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0269881108096983
[3]:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0306987799909210

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